矛盾

最近、やたら「デザイン」と「ビジネス」がセットで語られているような気がする。気持ち悪いくらいに。デザインは “商業美術” であるし、芸術、いわゆるアートの世界とはそういう意味で別次元であるから、当然ではあるのだが・・・。もちろん、自分もクライアントの「ビジネス」を念頭においてプレゼンしたりする。しかし、本当に面白いデザインやクリエィティブは、マーケティングやビジネス的な発想からは出て来ないんじゃないだろうか。それこそ生身の人間の精神の奥深くにドロッとあるものが、何かの拍子で世の中に露出し、たまたま風がピューと吹いて人から人へと伝達して行く。ここしばらく、あまりに不景気で本当に馬鹿馬鹿しい事を本気でやる人が少なくなったと思うが、それでもそういう人は、存在し実際に成功している・・・。ヒットすると、後付けで理屈をつけたりする人が出てくるが、まさしくそれは後付けだ。その考えを延長して行くとビジネスもそうかもしれない。例えば、大手の食品メーカーが調査に調査を重ね、満を持して最高の立地条件でファストフード１号店を出店しても失敗する時は失敗するし（いや、失敗の方が多いだろう）、冴えない裏通りのラーメン屋が大繁盛したりする。　デザインもビジネスも大いなる矛盾を孕んでいるのだ。まあ、理屈だけで成功する世の中だったら誰でも大金持ちになれるだろう。・・・とはいえ、もちろんギャンブルではないので当然ながら理屈は必要だ。御為倒しではなく、シンプルな理屈が・・・。